県民共済住宅 徹底解説 6つの特徴

ども。えいひれです。前回までのあらすじ。

前回、土地の売買契約を済ませ、いよいよ「B不動産で建物の間取りを進めよう」としていた私達。
そこに妻がうっかり1枚のチラシを見せてしまった。
封筒に入るお札サイズの広告で、吸い込まれるように魅入る私。

「県民共済住宅」って……何?

実際に県民共済住宅で契約し、家作りを進めている私達がその6つの特徴をまとめてみた。
※現在は建設中

知るきっかけ=埼玉県民共済に同封されていた広告チラシ
知るきっかけ=埼玉県民共済に同封されていた広告チラシ

特徴1:埼玉県内にのみ建築可能

まず、一番の特長は「埼玉県内でのみ建築可能なこと」
※詳しくは「県民共済住宅 公式サイト」参照

・埼玉県内にしか家を建てられない

・埼玉県民共済への加入が必要(契約時でも可)

建設地は埼玉県内に限ります。
当社は埼玉県民共済生活協同組合の加入者(組合員)を対象に事業を行っていますので、
未加入の方はお申込み(ご予約)に先立ち、組合にご加入していただきます。

引用元:公式サイト 県民共済住宅の特徴

ただし、建設地が埼玉県内に限定されてしまうが、住んでいる住所はどこでも大丈夫。

相談・打合せは2カ所(さいたま新都心・熊谷)に限定

打ち合わせは埼玉県内の支店(県内2カ所のみ)で行う必要がある。

大手HMみたいに打合せで融通を効かせてくれる事はなく、この2カ所「さいたま新都心」「熊谷」で打合せを行うしかない。離れた場所に住んでいると通うだけで大変だろう。

新都心本店
〒338-8701 埼玉県さいたま市中央区上落合2丁目5−22(最寄駅:北与野・さいたま新都心駅)

熊谷支店
〒360-0033 埼玉県熊谷市曙町1丁目81(最寄駅:熊谷駅)

私達の場合、合計11回新都心本店を訪れた。
(予約(通常のHMの「申込」)まで3回、設計打合せで8回、計11回)

幸い、新都心本店が近かったので苦にならなかったが、住んでいる地域によってはかなりネックになってしまうだろう。

特徴2:坪単価が安い

県民共済住宅は坪単価が安い。34万9800円/坪(税込)

県民共済住宅の坪単価34万9800円/坪(税込)
県民共済住宅の坪単価34万9800円/坪(税込)

2022年現在は上記にウッドショック対策費で33,000円(税込)が加算されて、

  • 38万2800円/坪(ウッドショック対策費33,000含む)

となる。

ただし、これはあくまで建物本体の標準価格であり実際の坪単価は異なる。
この記事の最後でざっくり計算しており、53.6万円/坪 あたり?と考えている。

もし、興味があれば読み進めてもらいたい。

特徴3:広告を出していない

広告展開をしていないのも特徴の一つだ。

多くの住宅掲載媒体ではハウスメーカーとして掲載されておらず、紹介もしてくれない。
※もちろん47都道府県で埼玉県内のみ建築可能な事もあるだろう

県民共済へ加入しているユーザには、私達の所に届いたような広告が届くが、それ以外の販路で特に他県のユーザが名前を聞く機会は少ない。

事実、大手の物件紹介仲介サイトに、新築ハウスメーカーとしての問い合わせ先に「県民共済住宅」は掲載されていない。

これは埼玉県民共済生活協同組合の創業者である正木 萬平氏(まさき まんぺい)のポリシーだろう。

創業者の正木萬平は、
「良いものは、それ自体が最高のセールスマンだから、良い商品を作れば、黙っていても売れるはずである。だから、勧誘をしたり必要以上の宣伝をする必要は無い。」
との持論から、その後も営業所を設けたり、勧誘員を採用することはせず今日に至っています。

引用元:埼玉県民共済生活協同組合コンセプト

一応スーモでは2015年までは『調査・ランキング』コーナーがあり、埼玉県内の着工数ランキング を発表しており、そこではベスト10に毎年顔を出していた。※この着工数ランキングは2015年が最後となる

スーモ 注文住宅 着工数トップ10社(2015年が最後)

【埼玉県版】注文住宅 着工棟数トップ10社 発表【2015年度】

【埼玉県版】注文住宅 着工棟数トップ10社 発表【2014年度】

【埼玉県版】注文住宅 着工棟数トップ10社 発表【2013年度】

この毎年のベスト10入りからも判る通り、埼玉県に昔から住む人には馴染みのハウスメーカーだ。
私事、妻が埼玉県出身で両親は当然のように県民共済住宅を知っていたし、周りに何人も建てた人が居ると話をしていた。

ちなみにLIFUL HOME’S では独自の集計方法で、埼玉県内の住宅メーカーランキングを毎月出しているが、県民共済住宅は名前は出てこない。

LIFUL HOME’S 2022年2月埼玉県版住宅メーカーランキング

特徴4:営業が居ない事とその影響3点

次の特徴が「営業が居ない」ことだ。

埼玉県民共済に同封されていた広告チラシに下記一文がある

  • 注文を強要することは一切致しません。

サンプル数が少なくて申し訳ないが、私が県民共済住宅に住宅相談(無料)に行った後も営業電話などはなかった。

営業が居ない=施主が自分でやる事が多い

営業が居ないメリット・デメリットは様々だが、基本的に他のハウスメーカーでは営業がしてくれるような次の事も施主が自ら行う必要がある

  1. 打合せは設計士と直接行う
  2. 各オプションの調査・見積は施主が自ら行う
  3. 内観・外観の3Dパースは施主が用意

上記3つについて、記載していこう。

1.打合せは設計士と直接行う

申込み(県民共済住宅では『予約』という)をした後、家の間取りを作る打合せは、営業ではなく設計士と直接行う。

設計士は『県民共済住宅内部のプロパー』、もしくは『外部(外部委託の設計事務所)』のいずれからランダムに選ばれる。
※ちなみに私は外部の設計事務所の方でした。毎回楽しい打合せだった。

設計士さんとの打合せで構える必要はない。
ただ、一応施主として要望・希望が判るように言語化、資料化しておくとスムースに進むと思う。

私の場合(=おそらく「やり過ぎ」のケース)、打合せは毎回3点セット(アジェンダ、スケジュール、各項詳細資料=確認ポイント・間取り・3Dパース)を作成し、打合せ前に設計士さんに送付していた。

実際の打ち合わせ資料の1ページ
実際の資料:画像は各項詳細資料

妻からは

「やり過ぎ……設計士さんドン引きしてたよ。」

と言われていた。
ただ、伝える努力はし過ぎるくらいでちょうどいいと思う。

あ、ちなみに打合せではお茶はセルフサービス

県民共済住宅にお茶コーナーがある。今は時期も時期なのでお茶も自分達でやろう。

2.各オプションの調査・見積は施主が自ら行う

「担当の設計士さんは営業ではない」

家の色々な仕様(外壁や窓、屋根、キッチン、etc……)について都度オプションを紹介してくれたり見積を取ってくれたりはしない。期待してはいけない。

そのため、施主が自ら各ショールームに足を運び、自分で調べる必要がある。

キッチン(LIXIL、クリナップ、タカラスタンダード)、TOTO、大建工業、YKKAP、朝日ウッドテック、ウッドワン、リリカラ、パナソニック、オーデリック、旭化成建材、宮原ショールーム、etc……

県民共済住宅の施主の方々は、上記ショールームはお馴染みではないだろうか。

「県民共済住宅で建築予定ですが仕様を教えてください。」

「県民共済住宅でこの仕様にしたいのですが見積をお願いできますか?」

自分達で積極的に行動する必要がある。

これは各社さんのショールームも実に手慣れているので大丈夫。

「あ、県民共済住宅さんですね。わかりました。」

各メーカーさんも対応回数が多いのか、とある会社では初回アンケートで「県民共済住宅」だけの別枠があったりするくらいだ。

私も間取りが決まるまで各社のショールームに行ったし、とても楽しい良い思い出になった。

3.内観・外観の3Dパースは施主が用意

設計士さんとの打合せでは、間取り(平面図)は作成してくれる。

しかし、外観の3Dパースは、外壁や屋根のイメージはもちろん、部屋の間取りイメージなどは一切出てこない。

「3Dパースや間取りなんて作れない!」

大丈夫。あなたが思う以上にあなたは出来る人だ。間違いない。

間取りや家だけでなく、街も作れる
3Dマイホームデザイナーは県民共済住宅施主の必須?アイテム

3Dマイホームデザイナー」という素晴らしいソフトがあるので別途紹介したいと思う。

私達は夫婦で毎回3Dパースを自分達で作成していた。
※上記は「犬が吠える」のイメージ図、犬の大きさは300%で作成

結論:営業が居ない影響は大きい

もし、

「施主が自ら調べるなんて面倒」

「自分で調べる時間が無い」

そんな方には県民共済住宅はオススメし辛いと言えるだろう。

特徴5:「耐震等級3」に標準で対応

県民共済住宅では『耐震等級3』が標準で取得できる。

標準で「耐震等級3」取得可能

耐震等級3:制振システムも標準仕様(補足:ヒノキ4寸角で頑丈)

※「制振システム」は「エアコン2台」とどちらか選択だが、
制振システムは後付けできないので、選ぶなら制振システムをおすすめしたい

念のため『耐震等級3』標準対応の経緯として、過去に発生した「壁量不足問題」について説明する必要があるだろう。

2015年、県民共済住宅が設計・建築した建築物に「壁量不足」が発覚した。

きっかけは当時のマンション問題(1級建築士による偽装)で不安になった施主からの調査依頼だったらしい。県民共済住宅の調査により建築基準に満たない建物が583棟以上発覚、その後全棟検査を行った。(埼玉県内にのみ建築可能なはずが「1都5県で」と書かれているが詳細は不明です)

建築会社「県民共済住宅」(さいたま市中央区)が施工した木造戸建て住宅で壁を補強する「筋交い」の本数が不足していた問題で、同社は26日、同社が施工した全物件2万4558棟のうち、建築基準法の基準に満たない物件が県内572棟を含む1都5県で583棟あったと発表した。同社が第三者委員会による調査結果を公表した。

引用元:埼玉新聞2016年4月27日 583棟で壁補強材不足 県民共済住宅が施工、無償で補修工事を実施

その後、2016年4月27日に発表した再発防止策として「チェック体制の整備」「コンプライアンス体制の準備」「住宅性能表示制度の取得」などを掲げていたが、2017年2月には「新築2年点検(無料)を開始」そして、2018年1月の仕様変更により、耐震等級3の標準装備化が行われたという経緯がある。

「耐震等級3」標準対応が持つ意味

個人的に、戸建で一番心配している事、それは「地震・台風・水害」などの災害と対策だ。

将来不可抗力で起こりえる「災害にいかに備えるか?」が建築時の最優先事項だと考えており、それに対する一番判りやすい答えが「耐震等級3の取得」だと思う。

対応コストの兼ね合い等色々あるが、できれば「耐震等級3」で建てたい。

数十年から数百年という短期間で地震を繰り返すのが、海溝型地震。 例えば、宮城県沖で起こる地震の平均発生間隔は約37年で、約30年前に一度地震が発生しています。そのため、10年以内にM7.5前後の地震が発生する確率は60%程度、30年以内だと99%に達します。今後30年以内に震度6 弱以上の揺れに見舞われる確率を見ると、太平洋側の大部分が26%以上 。

引用元:内閣府防災情報 特集 地震を知って地震に備える!

特徴6:県民共済住宅の引渡棟数は県内トップクラス

それでは、県民共済住宅の埼玉県におけるシェアはどれくらいなのだろう?

答えは埼玉県内トップシェア(おそらく)。年間1000棟前後の実績。

埼玉県民共済の別事業として設立された「県民共済住宅」の事業報告は、埼玉県民共済の決算報告に記載されている。

埼玉県民共済の決算報告から、直近3年間の引き渡し棟数と、1棟当たりの単純な頭割りを書き出すと次のようになる。

  • 2021年:988棟(売上高198億35百万円)=2007.59万円/棟
  • 2020年:1078棟(売上高208億8400万円)=1937.29万円/棟
  • 2019年:1038棟(売上高199億4700万円)=1921.67万円/棟

※平均単価は2021年で1棟当たり 2007.59万円。

コロナ化で苦戦しつつも、1棟辺りの単価は上昇傾向が伺える。

当期は、その全ての期間において、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、対面での打合せや契約場面においても、また、工事現場においても、万全の感染症対策を施しながらの進行だったため、従来以上の工数を用紙、進捗に影響が出てしまいました。
(中略)新規の完成引渡棟数が、988棟と前期比90棟減少し、売上高は198億35百万円(前期比95.0%)となりました。

引用元:第 48 期事業と決算のご報告 – 埼玉県民共済

埼玉県内だけで年間1000棟クラス、よく数駅隣まで散歩していると「あ、ここ県民共済住宅で建築中だ」と3件ほど見つけられた。(ちなみに次に多く発見したの「一条工務店」)

埼玉県内の着工棟数はナンバー1(おそらく)

また、他サイトからの引用になるが、埼玉県の住宅着工数をまとめているサイトがあったので数字を引用しておこう。

住宅着工数 都道県別ランキング 【埼玉県】

ハウスメーカー2017年 着工数2016年 着工数
1.県民共済住宅10471087
2.一条工務店779722
3.積水ハウス676692
4.旭化成ホームズ558625

引用元:住宅着工数 都道県別ランキング 【埼玉県】

県民共済住宅の平均坪単価を計算

少し雑な計算になってしまうかもしれないが、48期事業に記載されていた数字から、県民共済住宅の平均坪単価について考えてみよう。

まず、1棟当たりの平均売上額。

  • 2021年:988棟(売上高198億35百万円)=2007.59万円/棟

次に埼玉県内における注文住宅の住宅面積。

住宅金融支援機構が公開しているフラット35利用調査によると同利用者のうち、注文住宅を埼玉県内で建築している住宅面積は下記となる。

参考:フラット35利用者調査

フラット35注文住宅利用者 2020年度~住宅面積~

 中央値平均値
埼玉県114.7123.8
東京都115.9125.2
神奈川県118.6125.0
千葉県114.8120.7
※単位はm2(平方メートル)

つまり埼玉県の注文住宅における住宅面積の平均と坪数は下記となる。

123.8m2=37.45坪/棟

1棟当たりの平均売上高を、平均坪数で割ると、

53.6万円/坪=2007.59万円/棟 ÷ 37.45坪/棟

売上高には建築費以外の数字(外構費・他経費)がどこまで含まれているのか明確ではないが、ざっくり県民共済住宅のオプション含む平均坪単価は、53.6万円/坪 前後ではないだろうか。

埼玉で家を建てるなら県民共済住宅を選択肢に入れてみては?

さて、今回は「県民共済住宅」の6つの特徴についてまとめてみた。

次回は私達夫婦が「B不動産のフリープラン住宅」と「県民共済住宅」で悩み、実際に県民共済住宅へ住宅相談に行った話について書いていこう。(つづく)

P.S.公式動画に担当の現場監督さん出演

県民共済住宅 公式サイトがYouTubeで動画を出していた。
2022年2月現在これ一本だけだが、興味がある方は是非ご覧になって欲しい。

ちょこっとだけ私達の現場監督が動画に出てました。今度声かけてみよう。

By えいひれ

二児のパパです。ウェブのお仕事をしている傍ら、子供と一緒に遊ぶ日々。

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